思えば遠くへ来たもんだ

怪しい認知科学を紹介しながら、行き着くところへ目指すのを綴る場所

ブーバ・キキ効果 Bouba/kiki effect

(引用:ブーバ/キキ効果 - Wikipedia)

 

さて、皆様。

どちらの画像が「ブーバ」で、どちらの画像が「キキ」でしょう?

 

 

答えは下です。

 

 

 

 

 

 

 

答え

ありません!!

この2つの画像、別に名前がつけられている画像ではありません。

しかし、ほとんどの人は

右の雲みたいな画像:ブーバ

左のトゲトゲみたいな画像:キキ

と当てはめたのではないでしょうか。

 

そうです。

この画像、名前がつけられてないのに大半の人は

「右画像:ブーバ、左画像:キキ」

と当てはめてしまいます。

これを、ブーバ・キキ効果と呼びます!

 

終わり。

 

 

 

説明しやがれクズ

はい、いつも通りです。

 

ブーバ・キキ効果は先程も言ったように「曲線画像をブーバ、直線画像をキキと殆どの観察者が答えてしまう」現象のことです。

ヴォルフガング・ケーラーという方が最初に見つけて、有名なラマチャンドランが命名しました。

視覚画像の形から得た印象と合致する言語を当てはめるという人間の処理を、

よく表すことで有名な現象として広まりました。

 

この現象は以下の3つの特色が言えます。

 

・観察者の98%という高い割合で、この傾向を示す

母語・年齢に関わらず、同じ傾向を示す

・単純な刺激にも関わらず、面白い現象が出やすいことから、多くの心理実験で用いられやすい

 

 

1,2番目の特色は、強いですね。

その観察者の経験や文化的背景の影響や、成長に関係ないということです。

この現象は生得的な機能によるものということを示します。

我々が「ざらざら」「さらさら」とオノマトペで、物体の感じ(質感)を表すのも、生まれ持った(もちろんオノマトペ自身は文化的に生まれてきた言語でしょうが)機能ということです。

当たり前のようにやってきたことですが、これが当たり前であるということを示すのは中々難しいものです。

 

だからこそ、単純な刺激で示したことが、3番目の強みにもなりますね。

未だにブーバ・キキ効果を使った心理実験では、この画像が用いられます。

見てもらえば分かりますが、「形以外」違いがありません。

だからこそ、形による現象だと強く言えるわけです。これが、別の要因でも

違っていれば「形」による現象とは強く言えません。

刺激間で統制できるところはなるべくする。それが心理実験の定石(?)だからです。

 

ちなみに僕がこの現象を知ったのは、やっぱり以下の本です。

 

視覚科学

視覚科学

 

 

またこの本か、と言われそうですが今の僕を作っているのはこの本のおかげです。

いや、視覚やるならこれは読むべきです。

強く押しておこう。

 

次に、その後、ブーバキキ効果を見たのは以下の論文です。

Can a Word Sound Like a Shape Before You Have Seen It? Sound-Shape Mapping Prior to Conscious Awareness. - PubMed - NCBI

 

簡単にいうと「雲とトゲトゲの画像を見せながら、音声の「ブーバ」を聞かせると、意識が雲の方に向いちゃうよ!」って感じです。

いや、これは厳密には正しくないのですが、これを話し出すとそれこそ1記事書けるレベルなので許してください。

意識に関しては、僕はちょっとだけ調べていたことがあったので、また別の記事で書くときに再度取り上げます。

ここで言いたいことは

・最近の論文(上は2017)でも使われるぐらい有名な現象である

ということです。

 

 

 

 

 

 

その他

視覚的な形に対しては「ブーバ・キキ効果」があることが示されていますが、形といえば触ってもある程度イメージできることがあります。

では、触ることで得た形情報でも、そのような効果があるのでしょうか?

ということを調べた研究があります。

www.sciencedirect.com

 

こういう物体を見せずに触らせます。

f:id:anmitsuc:20181020011205p:plain

(p.168 Figure 1 引用)

 

触りながら「ブーバかキキか」答えさせる。

視覚を触覚に変えただけの実験です。

しかし、この実験では触覚情報での形に対しては、ブーバキキ効果が見られなかった。

という結果になりました。

 

視覚-聴覚での現象と今まで言われてきましたが、触覚-聴覚では不明だった。

しかし、この実験で少なくとも触覚-聴覚での相互作用は起きないことが示されました。

ううむ、悲しい。

何故なのか・・・。

触るだけだと、局所的な情報しかないので形が上手くイメージできないのか、それともイメージは出来ても、視覚的な情報がやはり必要になるのか・・・。

どちらにしても、視覚情報から得たイメージから音の印象を想像している、というのがこの論文の主張です。

 

 

 

最後に

我々は普段から物体のイメージを音で表します。

特に日本人は「オノマトペや形容詞」での表現力に優れている傾向があります。

最近は、物体のイメージとオノマトペの関係を調べる研究も多いので、まだまだこれからも視覚的イメージと言語に関する研究は増えていくでしょう。

いつの間にか、音声で狙った物体画像が作れる時代も来るかもしれません。

(というか、もう来ているのか・・・?)

 

そんな研究の流れを作った「ブーバ・キキ効果」。

興味がある人は調べてください。

視覚、聴覚、言語学、心理学、色んな観点で研究が行われているので、そういうのが好きな人にはオススメ・・・かもしれません。

沼にハマったらごめんなさい。

 

過去の記事は以下になります。(下に行くほど新しい)

 

visualawareness.hatenablog.com

visualawareness.hatenablog.com

visualawareness.hatenablog.com

 

 

というか、まだ認知科学系の記事、4記事しかなかったんですね・・・。

もっと増やさなければ。

というわけで、またどこかで。