思えば遠くへ来たもんだ

怪しい認知科学を紹介しながら、行き着くところへ目指すのを綴る場所

視覚と画像の基礎講座 第2回を受けてきました

今日は、東京工芸大学で一日中、以下のセミナーを受講してきました。

2018年度視覚と画像の基礎講座(全4回)

視覚学会と画像学会がタッグを組み、一年通して専門家を呼んで講義を行うセミナー。

これほど、豪華なことはありません。

7月に第一回があり、今日は2回目。

題目は『色』。

前回の題目が、心理物理学の実験方法と画像科学と基礎的だった内容に対し、今回は専門的な話になりそうということでわくわくしながら、受けてました。

 

前半は視覚における色の処理について、後半は画像処理という意味で色の扱い方

について、9:30-16:30の7時間ぶっ続けで勉強してきました。(休憩あり)

 

前半の,人の色覚の内容は、自分のB4だった頃のゼミの内容を復習している感じでした。

ただ、復習しているとは言っても、そこを専門とする先生の講座ですので、自分が知らないことが沢山あったり、割と無視していた部分を学習した感じがして、割と新鮮な気持ちで受けることが出来ました。

特に驚いたのは、以下の2点。

1. 網膜上には、L,M,S錐体、杆体だけではなく、metanopsinという視細胞があるということ。

自分の視覚の知識は、錐体、杆体で止まっていたので、驚きでした。

しかも、このmetanopsin、錐体のように色覚に関する情報を伝えたり、杆体のように動きに強かったりするわけではなく、飽くまで今が朝か夜かを伝えるためにあるとのこと。

抹消に、人の概日リズムに関係する受容器があるということに驚くを隠せない。

光が、人の生活リズムを作り出すのは何となく知っていたが、視覚系にそれに対応した細胞がちゃんと存在するのか、と感心した。

ブルーライトカットや概日リズムに関する研究が流行っているのもそのためか、と一人で納得した。

最も、概日リズムの研究はそれに寄与するものなんかは不明だが。

 

2つ目は、L,M,S錐体単体に光を当てるということをやった研究が今までに無かったこと。

(最早、知らない人には何の話か不明だろうけど、酔ってる状態で書いているから許してください)

今まで、Lに刺激を与えれば赤に見える、Mに刺激を与えれば緑、Sならば青という風に考えられていた(僕も自然とそう思っていた)のだが、よくよく考えると実験でちゃんと示したことはないらしい。

技術的に、ある視細胞一つだけに刺激を与えるということが無理だったらしい。

しかし、最近になってそれを出来るようにし、検証した研究が出てきた。

それがこれ(らしい)。

advances.sciencemag.org

まだ、論文を読んでないのですが、その錐体を刺激する=その錐体に対応する色が見える、というわけではないらしい。

今までの、考えを否定する研究内容で、結構すごい内容なんだろうなと思って聞いてました。

講座内では、錐体同士の計算手法が違うもしくはバグみたいになっているという解釈ではないかとおっしゃっていました。

個人的には、うーんと思い、錐体自体がはっきりと3種類に別れているのではなくて、同じL錐体でも、L:Mの割合10:0でもあれば9:1というのもあったりして、当ててる場所によってL錐体だけど、緑に見えちゃうとか。ミクロすぎるだろって話なんですけど。でも単純細胞だったり複雑細胞だったり、当て方次第では、発火したりしなかったりするので、視細胞にもそういう厳しい制約があることで、詳細な色知覚を可能としているのではないかなとか思ったりしてみましたが。

まあ、恐らく僕みたいな凡人の考えること、間違いだらけです。専門でもないので。

でも、今まで"正しい"と思われていたことが違ったということを証明したのは、研究の醍醐味でもあるよなとかニヤニヤしながら聞いてました。

 

他にも、脳内での色に関する処理の部位はどこであるかというのを、時間の都合上飛ばし飛ばしではあるけど興味深く聞いてました。

色って研究するの、難しそうだなあとか思いながら。

 

 

後半は、色彩工学ということで、センサが色を受け取り、印刷やディスプレイで再現する際、実物を見たときの色の感じと、違わないようにするために色んな方法、考慮する要素を説明受けてました。

余りこの領域は、触れないのですが、アカデミックな内容を実世界に活かしていくというのことを意識しながら聞いてました。

普段から、実物と再現物の色の知覚の差にそこまで違和感を感じないのは、それだけ膨大な計算とシステムがあって成り立っているんだと思いながら、そういうこと結構無視している自分に気づきました。

簡単なようで難しい。

自分がもし、実物の色と全く違わずに、再現できる機械を作れと言われれば、大変なことだなと思って聞いてました。

企業の方の講座でしたが、実際企業ではこういうことを常に検討しながら、どのように実用化していくかということを意識してらっしゃるんだなと、自分の無知さを恥じながら学んでいました。

実物から受ける色とセンサから受け取り再現する色、その違いを無くすことには、コストや導入の簡単さも必要だなと思い、ヒューリスティックなやり方というのが実用において重要なんだろうな、とぼんやり思ってました。

 

どちらの講義も受けた後、僕には何かしらの新たな知見が得られて、とても充実した時間を過ごせました。

次の講座の内容は「奥行き知覚」。

どのような話が聞けるか楽しみです。あと東京いけるの楽しみです。

 

ちなみに参考資料。

宣伝になれば。

 

視覚〈1〉視覚系の構造と初期機能 (講座“感覚・知覚の科学”)

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色覚のメカニズム―色を見る仕組み (色彩科学選書)

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Color Vision: From Genes to Perception

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視覚情報処理ハンドブック(新装版)

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Billmeyer and Saltzman's Principles of Color Technology

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